あがり症と緊張の関係

あがり症と緊張の関係

img_03.jpg 人前に出ることによって緊張し、あがってしまうという経験は誰にでもあることです。「あがり症」と「緊張」は基本的には別物ですが、非常に密接な関係があります。ここでは医学的な視点から、緊張とあがり症の関係についてご説明します。

緊張のメカニズム

大勢の人の前で話す時や、気になる異性と会った時などには、「大変なことをやる」という意識が働きやすいものです。そして、その思いがストレスとなって、自律神経をコントロールする視床下部に伝わります。視床下部にストレスがかかることによって交感神経が刺激され、心拍数や体温、血圧が急上昇します。それが「緊張」と呼ばれる状態です。その状態が強く表面化することで動悸や発汗、震えといった「あがり症」の症状につながるのです。つまり、交感神経が自分の置かれた状況に過敏に反応したために、このような緊張症状が強く出てしまうのだと言えます。

緊張からあがり症へ

社会人2年目のMさんは、会社の全国集会で所属していた営業所の代表として話をすることになりました。各営業所の代表が日頃の活動内容やふだんどんな工夫をして仕事をしているかといったことについて話をするのです。Mさんはこれまでそのような経験はまったくありませんでしたが、上司からも諭されてしぶしぶ代表を引き受けることを決意しました。

当日、最初「イヤだな」という気持ちから多少の緊張感はあったものの、極端に緊張しているわけではありませんでした。しかし、他の営業所の人の話を聞きながら自分の番を待っていたMさんは、他の人の話のうまさにびっくりしてしまいました。「自分はろくに練習もしていないのに…」そう考えだすと、しだいに緊張してくるのを感じました。「ちゃんと話せるだろうか」と思い、心臓がドキドキしてきます。手に汗をかいたりもしてきました。自分が緊張していることに気がつくと、今度はそのことが気になり始めます。「緊張してはいけない」と思うのですが、かえって緊張するばかりです。
「落ちつこう」と思っても、自分の順番が近づくにつれ、緊張はさらに強くなってきます。そして、いよいよ自分の番となり壇上に立って話し始めると、声がうわずっていることに気がつき非常に焦りました。脚もガクガクと震えだす始末です。途中で自分でも何を話しているのかわからなくなり、しまいにその場に立ち往生したまま全然喋れなくなってしまったのです。それからというものMさんは職場の朝礼や会議など大勢の人の前では緊張して頭が真っ白になり、ろくに話ができなくなってしまいました。(24歳男性・実談)

上記のような例はよく聞く話なのではないでしょうか。このように最初はちょっとした緊張だけだったのが、「順番待ち」をしているうちに緊張がどんどん強くなってしまうことはしばしば起こることです。「ちゃんと話せるだろうか」という不安が緊張を呼び、その緊張がより強い緊張を生んでしまいます。いったん緊張しだすと、そのことが気になってよけい緊張してくるのです。その結果、初めのうちはほんの少し動悸がする程度だったのが、声や脚が震えるとか、頭が真っ白になってしまうといった症状が出てくるまでになってしまうのです。

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